昨日、あなたに恋をした

「何年も前に買うかどうか迷って、買わなかった服がずーっと心に残ってるんです。
 そのとき、店長とした会話まで忘れられなくて。

 沙知見さんも、そんなこと、ありませんか?」

「服はない。
 ゲームならある」

「沙知見さんなら、わかっていただけると思ってました」
と言いながら、日子はテーブルの上にある誠孝の手を握ってきた。

 ……酔ってるな、こいつ。

 日子に握られたおのれの手を見ながら、誠孝は呟く。

「悪いシュウマイや悪い酒はないかもしれないが。
 悪いゲームはあるな」

「どんなゲームですか?」

「俺が勝てないゲームはすべてクソゲーだ」

 日子が笑った。

 つられて誠孝もちょっと笑う。

 しょうもないことで一緒に笑うの、なんかいいなと思ってしまった。