「スダチがきいてて美味しいですね」
と日子は機嫌良く、スダチを絞って作ったタレでシュウマイを食べながら言ってきた。
以前、日子が持ってきたスダチの残りで作ったのだ。
熱々の肉汁あふれるシュウマイを食べながら、白ワインを呑んだり、誰かが土産に買ってきたという東北の地酒を呑んだりしていた日子がふいに呟いた。
「ずっと忘れられないってありますよね……」
突然、忘れられない男の話がはじまったのかと、どきりとしてしまったが、日子の目は白ワインを見ていた。
「忘れられない酒でもあるのか」
そうだといいな、と思いながら訊くと、日子はあっさり、
「そうです」
と言う。



