昨日、あなたに恋をした

「いや、俺がおごってやろう。
 今日、ボコボコにしたから」

 メニューを見ながらそう言う誠孝に、

 ボコボコにした自覚と記憶はあったんですね、と日子は思っていた。

「お前と親しくなったから、手心を加えたと思われたくない。
 だから、より言い方が厳しくなっていたかもしれん」

「あ、いえ、そんなことは……」

 あったかもなんですが。
 ちょっと嬉しいな、と日子は思っていた。

 そうか。
 手心を加えそうなくらいには、親しくなれてるんですかね? と思ったとき、更に誠孝が言った。

「いくらお前でも、仕事のときは容赦できないからな」

 いやいや、いくらお前でもとかっ、
と日子が赤くなったそのとき、よく磨かれた黒い派手な外車がマンションに入っていくのが見えた。

「……新太さんじゃないのか?
 車知らないが」

「知らないのに、なんでそう思うんですか?」

「いや、黒い車って、地味に見えるときも、派手に見えるときもあると思うんだが。
 なんか、今、すごいド派手なオーラを車が放ってるように見えたから」

 ……ちょっとわかる気がする、と苦笑いしながら、日子は立ち上がった。

「行きましょうか」

 誠孝が新太と話したそうに見えたからだ。