顔は好みだが、あとは好みじゃないとか。
本人に向かって言うとか、どうなんだ……と思いながら、誠孝は、ドア越しに、
「ありがとうございましたーっ」
と言う日子の声を聞いていた。
あの女のことだ。
どうせ、見てもいないのに、深々と頭を下げているのに違いない、と誠孝は思う。
昨日、
「ゲームでもしませんか」
と言って、いつもと違う顔でヘラヘラ日子が言ってきた。
仕事中とは違う緊張感のない日子の顔を思い出した誠孝は、閉まったドアを見つめていたが。
鍵をふたつかけ、U字ロックをかけ、なんだか物足らずに、近くにあったスリッパスタンドをドアのすぐ前に置いてみた。



