昨日、あなたに恋をした

「お、落ち着いて~。
 落ち着いて~。

 騒ぎが大きくなりそうだったから、会社やめただけで。
 捕まってもないし~」

「私などではなんの力にもなれないでしょうがっ。
 せめて、そんな東城さんにお会いして、楽しい話題など提供したいですっ」

「楽しい話題ってなに?」

「この間、楓さんが印刷してたお礼状見たら、一番上に大きい字で、『俺以上』って印刷されてたとか」

 やーめーてーっ。

「楓さんが今のマンションに引っ越す前、乾きにくい靴を三年干してるって言ってたこととか」

「……あの、私じゃなくて、ゆーちゃんの楽しい話をしたら?」

「ないです、私のは」

 楓さん、と裕子は祈るように手を合わせ、自分を見上げてくる。

「く、来れば? 今日……。
 うちは最近片付いてるから、いつでもおいでよ。

 ……いや、うちまでは上がってこないかもしれないけど」
と東城のいる玄関ホールか警備員室から動きそうにない裕子に向かって言ったそのとき、スマホに連絡が入った。

 ベルゼブブ新太だった。