昨日、あなたに恋をした

 インターフォン越しで結構ですと言ったのに、沙知見はドアを開け、出てきた。

誠孝(しげたか)だ。
 書いてあるだろ、いつも書類に」

 裕子たちがクールなイケメンだと騒ぐ端正なその顔を覗け、仕事中と変わらぬ冷徹さで、そう言ってくる。

 ……いや、読み方までわからないじゃないですか。

 ねえ?
と日子は、『沙知見誠孝』を見た。

 腕組みし、自分を見下《みくだ》すように見て誠孝は言う。

「なんだ。
 ぶっちぎりにゲームで負けた腹いせにやって来たのか。

 さっきは素知らぬ顔をしていたくせに」

「……いや、あなたもじゃないですか」
と言いながら、日子は思っていた。

 シゲタカの正体、

 泥棒よりハゲタカより、タチが悪かったようだ……、と。