昨日、あなたに恋をした

「あなたのような人と付き合っても、姉は捨てられるに違いありません」
と姉をよく知る弟は言い切った。

「あんな、
『泡立て器ないから、これ使ってもいい?』
と泡立て器を手にやってきたり、

 朝起きていきなり、
『今日はピーマンに囲まれた夢を見た』
とか言ってきたりする姉なんて」

 いや、君のその姉のとんでも話により、断る男もいるのでは、と思いながらも、

「和んでいいじゃないか」
と誠孝は心にもないことを言った。

 姉思いの弟に心配かけたくなかったからだ。

 すると、高道は、

「そうですかっ。
 ありがとうございます、沙知見さんっ」
と誠孝の手を握ってきた。

 ……なにがありがとうございます?
と思っている間に、深く頭を下げられる。

「末長く姉をよろしくお願いいたしますっ」

「いや……」