楓日子の母親は日子とはまた全然違う雰囲気の、大柄な造りの美人だった。 日子よりは常識人のようにも見えたが、 「どうしたの、日子。 ジャージなんてあなた持ってたの? 二人で走ってきたの?」 などと不思議なことを訊いてくる。 そんな莫迦な、母よという顔を日子はしていた。 ガラス窓から、さっきの犬にグルグル回られている軽トラがここからもバッチリ見えていたからだ。 ……あの犬、こっちに来てくれないだろうかな。 広いリビングでお茶をいただきながら、誠孝は思っていた。