昨日、あなたに恋をした

「まあ、今は自宅なんで。
 自分の部屋以外は掃除しなくていいんだが」
と言う東城は、親に帰りに洗剤を買ってこいと言われたらしい。

「ご飯が自動的に出てくるのはいいな。
 風呂も沸いてるし。

 でも、いろいろうるさいこと言われるから、やっぱ、一人暮らしに戻りたいかな」

 そこで、東城はこちらを見て言った。

「なにも聞かないんだな」

「え?」

「俺が前の仕事、クビになった理由とか」

 はあ、と日子は曖昧な返事をする。

 実は、この間、高校のときの友だちとメールしたとき、ぼんやりとは聞いていたのだが。

 先輩がなにも語らないのに、詮索するのも悪いかなと思い、突っ込んで訊いてはみなかったのだ。

 東城は、ちょっと笑うと、ぽんぽん、と学生時代のように日子の頭を叩いた。

「土曜、俺は手伝えないが、頑張れよ」

「はいっ、ありがとうございますっ。
 頑張りますっ」

 部活の大会前のような意気込みで、日子は言った。