昨日、あなたに恋をした

「いいなあ、私も行きたいんだけど。
 その日はちょっとなー」
と羽根が言い、

「俺も行ってみたいんだが。
 出張なんだよな~」
と星野が言う。

「そっかー、残念」

 何人増えても片付けるのは一緒なので、たくさんで来てくれてもよかったんだが、
と日子が思ったとき、同じ部署の道中(みちなか)という三つ下の男性社員が、FAX用紙を振りながらやってきた。

「楓さん、変更出ましたよ、また~」

「大丈夫、想定済み」
と受け取ったとき、裕子が、

「FAXって家ではあんまり使わなくなりましたけど。
 職場ではまだまだ現役ですよね~」
と言いながら、ひょい、と覗き込んだ。

「やだ、沙知見さんからじゃないですか~」

 裕子は目敏(めざと)く変更箇所の指示とデータの下に書かれた誠孝の名前を見つけたようだ。

「なんか名前見ただけで、どきっとしちゃいますよね」

 ……そうだね。

「FAXまで輝いて見えますっ」

 いい匂いがしてきそうだよね。

 確かに輝いてるし、と日子は思ったが、光沢のある紙なので、電灯の光に照らされて、ちょっと眩しいだけだった。