昨日、あなたに恋をした

「誰ともつきあったことがなさそうだ」

「そんな、私だって、浮いた噂のひとつやふたつ……」

 反論しかけて日子は気づいた。

 ないっ、

 なんにもないっ!

 そして、そう思ったことをうっかり全部表情に出してしまった。

 ……なんだろう、ものすごい哀れみの目で見られているような気が。

 いや、被害妄想だろうか。

 いっそ、ものすごい男性遍歴とかあって、(さげす)まれた方がよかっただろうか。

 いや、どっちも嫌だな、と思いながら、日子は、

「お、お手洗いお借りします」
と言って、その場から逃亡した。