志穂と一馬が付き合い始めて半年。


季節は暑い夏から雪の降る冬へと移り変わっていた。


寒い冬の様に心は寒く、二人はすれ違いの生活で、
なかなか逢う時間がなかった。


一馬には自分の店を持つと言う夢があり、
そのために休みの日は客の接待をしていて休みはない。


一也に知られることを恐れ、志穂は一馬の店にも部屋にも行けず、
二人はほとんど逢うことが出来ずに過ごしていた。


いつしか志穂の中で、一馬の気持ちはすっかり自分から離れてしまったのではないかと言う不安ばかりが襲う様になっていた。


そんな志穂の不安をやわらげてくれていたのは一也だった。


一也と逢うたびに、志穂を心配してくれる一也に、
一馬との事を話す訳にいかずに、彼氏とは別れたと、嘘を重ねていた。