「なんで入学したこと黙ってたんだ?つめたい奴だな!」


 大きな声で威圧するように話てくる。

 クラスメイトも瀬戸くんの存在は知ってるらしく、目を反らして知らないふり。

 私は一方的に投げかけられる言葉を受け止めるだけで、現状を把握してない。


「瀬戸くん、その……私ね……」


「ちょっとまて!その話は二人っきりでゆっくり聞く、黙ってろ!」


 二人っきりで聞く、とかクラスメイトが勘違いするようなことを教室の中で言わないでほしいな。

 やり取りだけ聞いてたら、まるで私が瀬戸くんに告白してるみたいじゃない!

 カーストの子たちも、親しく話す私たちを見て目を丸くしてる。


 喧嘩上等の最強男子と私が対等に話てたら、驚くのも無理はないよね。

 しかも瀬戸くんは二年生で、私は一年生なんだもん。

 本当は同じ歳なのに、そこら変を追求してこないから彼も事情を知ってるのだろう。


「でもね……」


 話たいことがたくさんありすぎて、言葉が出てこないよ。

 苦しかった胸の内を、同級生に打ち明けたい。



 でも、冷静に考えたら、瀬戸くんは喧嘩上等の不良男子だった……