目の前には、背が高くて細身のイケメン男子が立っていた。


 両手をズボンのポケットに入れて、私を睨むように見つめてる。

 髪はちょっと長めで栗毛色、女子から人気のありそうな整った顔立ち。

 凛とした表情と鋭い目つきで、他の同級生を寄せ付けない威圧さがあった。


「お前、相変わらず見た目が地味だな!」


 いきなり地味と言われてしまったけど、その声には聞き覚えがある。


「もしかして……」


「よっ、ひさしぶりだな!宇佐 洋子!」


「えっ、なんでこの学校にいるの……」


 泣く子も黙る、喧嘩っ早くて口が悪い最強の不良男子。

 私と同じ中学校で同級生、地元最強の悪で有名な瀬戸 竜也(せと たつや)くん。

 暴走族って噂を聞いたけど、なぜここに……


「細かいことはいいんだよ!聞いたって、教えてやらね~からなっ!」


 そういえば、カーストの子たちが「先輩」って言ってた。

 私と同級生だから、クラスメイトから見れば年上の先輩。

 彼は二年生でも、私は一年生だよ。


 複雑な状況だと知ってて姿を見せたのかな?

 それとも、からかいに来ただけ?

 そもそも、中学の時だって数回しか話したことなのに!

 瀬戸くんは同級生から見ても怖い存在で、悪そうな友達といつも一緒にいた。



 このタイミングで、なぜ私の前に姿を表したの……