イケメン御曹司と映画のような恋が始まりました!

バンッ


「そんなことも知らないのですか?もう結構だ!」



こういう日に限って、何かが起きるものだ。



この仕事はクレームも多い。



泣きそうになっている窓口の女の子を静かに立ち上がらせて、別室に連れて行かせた。



「申し訳ございません。私が代わります。よろしいでしょうか。」


その客はホテルの設備や場所などについて細かく知りたかったようで、説明していくうちに落ち着いていった。



「こちらのホテルにあるラウンジから夕陽が見えるんですけど、とても綺麗なんですよ…。」



ホテルの情報は基本的には頭の中に入れてある。


企画する上では立地やホテルのランクなども重要なのだ。



だけど、特にここは綾人にプロポーズされたホテルだった。



あの日の紅い夕焼けがありありと目に浮かんだ。



持ち前の妄想癖がこんな時には逆効果だ。



あー…だめ。
泣いちゃダメ…