愛は不安と恐怖に襲われていた。
「礼子…、何度も言わせるな。
何度言われても、俺の気持ちは変わらない」
礼子は悔しそうに愛を睨みつけていた。
「あんた何かに誠は渡さない!
誠は絶対に渡さないっ!」
礼子は愛にそう言って出て行った。
愛は悲しそうに誠を見つめていた。
誠は拳を握りしめ、何かを考えているようだった。
何故、誠は何も言わないのだろうか…。
誠だけではなく、愛も何も言えずにいた。
言葉が見つからない…。
謎を解くカギ…。
やはり…、目の前の光景が…。
今もハッキリと浮かび上がる…。
誠が…、大切な人が…。
自分から離れて行くような気がした…。
愛しているはずの誠が…。