奈緒と美和に全てを打ち明けた次の日の放課後、俺は二人と一緒に、何百枚もの零次の写真のコピーを、あらゆる人に配っていた。
零次を見つける方法は、世界中のあらゆる都市で、零次を探し回ることくらいしかない。
でも俺はガキで、英語もろくに話せないようなただの学生だから、まずは人の手を借りようと思った。今時白髪の高校生なんてなかなかいないし、もし見かけた人がいたら、覚えててくれているんじゃないかと思ったから。
でも、その結果は散々で。
東京の二十三区にいたあらゆる人に声をかけても、零次の手がかりは全く見つからなかった。
白髪の髪の人を見かけたって人はちらほらいたけれど、どれも全て、零次ではなかった。
神様は残酷だ。一番手を貸して欲しい時に、手を貸してくれない。
「き、きゃあああああ!!!!」
奈緒や美和と一緒に零次を探すようになってから二ヶ月ほどがたったある日、俺は母さんの断末魔を聞いて、目を覚ました。
俺はその日も、学校の後は、零次を探しにいくつもりだった。
「母さん? どうしたの?」
俺が慌てて部屋から出て一階に行くと、母さんはダイニングで、青白い顔をして身体を震わせていた。
「起こしてごめんなさい、海里。さっき庭に出たら大きな荷物が置いてあって、今中身を開けてみたんだけど……」
母さんが震えた声でテーブルを指さす。
「え……」
テーブルの上に敷かかれた新聞紙の上には、誰かの脚が置いてあった。あるのは脚の膝から下の部分のみだ。
脚は濡れていて、どうやら元は水の中にあったもののようだった。
激しい悪寒が俺の脳内を支配する。
脚は何かの下敷きにでもされたのか、分厚い板のように横に広がって潰れていた。
脚の所々に白髪の髪の毛がついていた。
黒のジーンズに、紫色の靴。零次が身投げした時と、やけに服装が似ている。いや、もしかしたら同じかもしれない。



