きみと真夜中をぬけて






辛い時、寂しい時。私が一番最初に思い浮かぶのは誰だろう。


一瞬考えて脳内に浮かんだ男の顔に、やっぱりそうなんだよなぁ、と納得する。

そんな私を見てか、杏未が「ねぇねぇ」と興味津々に言った。




「蘭ちゃんは日之出くんのこと、好きとかじゃないのかな」



綺が私に好きだと伝えてくれるたびに、私は私を大切にしようと思えた。

それが本当に恋かどうかはさほど重要なことではないと思って今日まで生きて来た。




綺は私にとって大切な人だ。


好きだと言われるのは嬉しくて、綺の行動にドキドキしたりもする。綺が楽しそうだったら私も嬉しいし、辛そうにしていたら私も悲しい。

一緒に星を見に行きたいと思う。
同じ夜を越えたいと思う。



「好きだよ」



これを一般的に恋と呼ぶのだろう。



なんとなく分かってはいた。


これまで誰かに恋をしたことがなかったから半信半疑ではあったけれど、綺と関わって、好きなことも苦手なことも、弱いところも、お互いに知るようになって────きみのそばにいたいと思った。



好きなんだ、綺のことが。

確かに恋、なのだと思う。