仕事中かどうかは、22時を過ぎたこのコンビニではさほど重要なことではない。


しかしながら、イートインスペースに二人で座り、ハーゲンダッツを食べる22時25分は、とても不思議な時間だった。



「あの、おれ、考えることがあって」

「はい」

「彼女と別れようかなって」



真夜中さんがぼんやりと店内の蛍光灯を見つめている。悩みであるはずのそれは、既に答えが決まっているようにも聞こえた。



そういえば、初めて真夜中さんと話した時に、彼女とはよく分からないまま付き合っているって言っていたような気がする。

真夜中さんは私を見ていると元気が出て、漠然と勇気を貰えるとも言っていた。



変わる勇気すらないと呟いていた真夜中さんも、この2ヶ月の間で 変わるために動いているみたいだ。



「いいんじゃないですか。……知らんけど」



不明瞭な言葉でも、漠然とそれが時に背中を押す材料になる。



真夜中さんの未来がどう変わるかは、私は何も知らないけれど。

それでも、少しでも勇気に繋がるのなら、私は真夜中さんにとって意味のある存在になれたのかとも思うのだ。



「ふは、ありがとうございます」

「どういたしまして」


私は、まんざらでもない返事をした。