きみと真夜中をぬけて






「文化祭どうでした?」



真夜中さんが問う。

「楽しかったですよ」と短く返せば、「そうですか」と穏やかな声で言われた。



楽しかった、本当に。

制服を脱ぐことを勿体ないと思ってしまうほど、帰りたくないと思ってしまうほど、とても順充実していた。



人とぶつかって買ったばかりのチュリトスを落としてしまったことも、お化け屋敷で杏未に服を引っ張られまくったことも、綺と杏未と3人で青春をしたことも。

愛おしくて、一生忘れたくない時間だった。



青春が戻って来たような気分になれた。私が学校にちゃんと通っていたら、他のイベントごともこんなふうに楽しめたのかもしれない。


杏未と同じクラスだったら。
綺と同じ高校だったら。

毎日、制服が着れていたら───…




「良いと思います」