きみと真夜中をぬけて









久しぶりに、夜を越えるために外にでた。

夜の空気に触れるのは1週間ぶりなのに、毎日の日課だったせいか、少し離れただけでもこんなに恋しくなる。


夜をこんなにも好きになったのは綺の影響だ。ベンチに座り、ぼんやりと空に惚ける。

星が、その日はとてもよく見えた。





夜に出歩くことを家族に禁止された綺とは、日中に会うことが増えたものの、ここ1週間は「補習があって時間取れてない」と言われていて、全く顔を合わせていなかった。



世の高校生は前期末テストを終え、いよいよ夏休みに入ったらしい。


綺の学力については中の下、もしくは下の上あたりだと聞いていたので、補習対象で夏休み早々に学校に行かなければならない事情も頷けた。



しかしながら、綺に会っていなかった理由は補習だけではないような気がしていた。


というのも、杏未からもらった手紙を初めて読んだ日のことを思い返すと、あの時の綺はどこか元気がなくて、泣き出しそうに見えたからだった。




変わらない優しさがとても苦しかった。

いつか聞いてほしいというくせに、綺は私に自分の話をする気はなさそうで、まるで線を引かれたみたいに寂しい気持ちになった。