ベイルさんが言った言葉に頷いて、私は返事をした。

「そうですね、いっそ仮のままで発表はもう少し後でもいいと思います。東と西を落ち着かせるまでは、延期にしませんか?」

私の言葉に、クリストフさんとベイルさんは顔を見合わせた。

だって、この二人がこれから一番忙しくなるだろうことが明らかだしね。

もともとこれで良いのか少し迷っていたし、いい機会だと思って言った。

「私は、忙しくなる前に発表したいですが……」

ベイルさんは気持ちと状況の板挟みなのか、苦そうな表情だ。

ベイルさんはこの婚約には、仕事的義務感しか無いだろうに……。

表情からは、延期するのが嫌みたいに感じる。

私の勘違いだと否定して、騒ぎそうな鼓動を抑えた。

「そうだな。今回の件もあるし、犯人の捕縛とともに陛下にも延期を進言しよう」

クリストフさんの言葉に頷いて、私は了承の意思を示した。

そんな私の様子を見て少し悲しそうにしつつ、ベイルさんも頷いたのだった。