最初こそなんでと思ったものだが、サリーンやアリーンに出会った事、団長さんや様々な騎士さん達、ジェシカちゃん、マリアさん、アラン君やレイモンドさん、フェミリアさんにシャロンさん、ミレイド家で働く人々に学園での同級生など、この世界で付き合う人々はどんどん増えて行った。

猫のメルバも私の大切な家族だ。

そう、ここに来て私の大切だと思える人が増えたのは有難いことだった。

しかし、それは同時にまた失うことを意味する。

大切な人は、いつも私より先にいなくなってしまうものだった。

だからこそ、私はこの世界で大事な人が増えていくほどに怖くなる。

また、私はいつか置いていかれるのかと……。

でも、ここでの私には力がある。

傷や怪我や、病を癒す力と魔法の力。

このどちらもあれば、そうそう大切な人を失うことは無いだろう。

大切な人を失う恐怖は、元の世界の時より薄れたのは確かだ。

しかし寿命だけはどうにも出来ないことは、祖母の時に嫌という程理解している。

人の持分の砂時計の砂が流れ落ちる、その終を覆すことは難しい。

だから、きっと失う怖さがなくなることはないだろう。

それでも、この世界では私より幼い大切な人ができた。

ジェシカちゃんやアラル君だ。

この子達と出会えたことが、私の希望になった。