「ユウ様。その件に関しましては旦那様に報告致しまして、本日早急に決着を付ける手筈が整っておりますので、問題ございません」

この状態は、多分シャロンから聞いているとは思っていたが、まさかその対策まで既に準備済みとは思わなくって、ちょっとビックリした顔をすれば、その頃廊下が騒がしくなってきた。

ん? まさか、この騒ぎはなにかある?

「ユウ様の教室はここですか。あぁ、いらっしゃいましたね。案内ありがとうございます、日々鍛錬なさい」

教室の入口には、何故か騎士科の生徒に案内されて銀髪にモノクルを掛けた、顔見知りなベイルさんが現れた。

しかも、私を見つけて嬉しそうな微笑み付きである。

笑ってるとか、私ですら片手で足りるほどしか見たことありませんけど?!

あまりの衝撃に多分ちょっとアホな顔をしていると、私の前までベイルさんがやって来て膝まづいて、私の左手を取り甲に口付けた。

なんて、様になるのか!

美形、ってずるい!

思わず私の顔が赤くなるが、そんな私すら嬉しそうに微笑んで眺める姿は傍から見れば互いに想い合っている男女の図である。

この事態は一気に駆け巡り、私に自分アピールしてきていた侯爵家の次男や伯爵家の三男など四人程が、教室の入口に詰めかけてきた。

なかなかに早い行動である。

彼らは、こと行動力に関してはご立派なのだ。 まったく嬉しくないが……。