「メルバ、お前はいい子だね!」

足元のメルバを撫でるために屈むと、メルバはトンっとジャンプして私の肩に乗ると、頭を私の頬に擦り寄せてきた。

「本当に可愛い子だね、メルバ」

そんな私とメルバのやり取りを見て、アリーンがポツリと言った。

「今は可愛らしいけど、ユウが魔法が上手くなって治癒術も上達すればこの子、変わるわよ?」

変わる? 一体なにが変わるというのだろう。

「こんな、ちょっと変わったホワイトタイガーみたいな色と柄だけど、人懐っこい、可愛い猫じゃない」

そう言い返すとボソリと妖精たちは言う。

「いずれ、近いうちに真の姿を見せることになるわ。私達は、ちゃんと教えたからね?」

サリーンまでもが、釘を指すように言うのでちょっと用心しておくことにする。

精霊王からのお願いで私のそばにいるこの子達は、基本私の世話係的なものだ。

魔法や治癒術、妖精や精霊王の事についてを教えるのが彼女らの勤めである。

そこに嘘はないので、信用している。


「メルバ、君は一体何者なの? まぁ、何者であってもそばに居てくれるのは嬉しいから、君が離れたくなるまでは、一緒に居ようね!」


私の言葉が分かるのだろう、メルバはちょっと心外だとでも言うような怒った顔をしたあと、肩にがっしりくっ付いていた。

まるで、離れる気などサラサラないと主張しているようで嬉しかった。

「うん。ずっと一緒ね! 私とメルバは家族だものね」

肩の上の頭を撫でてあげるとゴロゴロと喉を鳴らして、やっとご機嫌が治ったのだった。