「ユウ様、それは具体的にはどんなものをお考えですか?」

副団長さんが、やや前のめりで聞いてきたので、私は少し驚きつつも答える。

「今、やってみますね?」

そういうが早いか、私は自分の両手をものを持つように掌を上にしてイメージした。

すると、私の広げた手の上には程よい大きさの水晶球が乗っかった。

「これに悪意ある人物が触れると、黒い霧が中に立ち込めます。そういう人はそこで入国拒否の旨を伝えます。そうすれば、国内に入れないので安心です」

水晶に少しの魔力を流す。

「普通の人が持てば、こんな感じで黄色いモヤになります。黒い霧になったものは砦の通路を通れないように、この門にだけ結界を張り、水晶で問題ない人だけ通れるようにします」

皆が手元の水晶を覗き込み、黄色のモヤを見て納得していると、副団長さんは言った。

「これは、我が国の四つの砦全てに設置したいですね。これの維持はどうなっているのでしょう?」

「周囲に自然に漏れてる魔力を吸うようにと考えたので、置いておけば半永久的に使えるものになります。ただ、素材としては強くないので落とすと割れますよ?」

私の答えに、またも周囲はどよめきに変わる。

周囲の魔力を自然と吸収ってそんなに不思議かしら? 最初の村から移動してきている間に、ちらほらと見てきたけど結構そこら辺に漂ってるから、使えると思うんだよね。

どうやら、魔力って人だけじゃなくて自然物も持ってるみたいで、岩とか木とか、草花からもちょっとずつ流れてくるんだもの。

そういった力を借りるのは、悪くないと思うんだよね。

発想的には自然エネルギー的な感覚なんだけど、周囲の反応を見る限り、この考え方は普通ではなかったみたい……。