そしてわたしは、言われた通りアパートを引き払って、爽太さんの家に住むことになった。
「紅音、これにサインしてくれ」
「……あ、はい」
渡されたその婚姻届に、わたしはサインをした。わたしの保証人の欄には職場の人にサインしてもらうことにした。
「紅音、お前には伝えなければならないことがある」
「……え?伝えなければ、ならないこと……?」
それは何なのだろうか……。まさかまた何か、あるのだろうか……。
「この結婚だが……。この結婚は、離婚前提の契約結婚だ」
「り、離婚前提……?契約、結婚……?」
どういうことなのだろうか……。離婚前提の、契約結婚……?
え、離婚前提のって……どういうこと?
「俺との契約結婚期間は、2年間だ」
「2年間……」
わたしたちは2年間だけの、契約夫婦ってこと……?
契約結婚……。どうして、契約なのだろうか……?
「俺たちは明日、離婚前提とした2年間の、期間限定夫婦になる」
「離婚前提の……」
「2年間だけの、期間限定夫婦にさ」
「き、期間限定夫婦……?」
期間限定夫婦って……。聞いたこと、ない。