「……でも、そんなの……。悪いです」

 今日初めて会った人に借金を返済してもらうなんて、そんなこと出来ない……。
 そんなの迷惑になってしまうし……。

「じゃあ聞くけど……。お前はこのまま、借金を返済し続けられるのか?」

 そう聞かれてわたしは「それは……」と口を閉ざした。

「どうする?お前はこのまま、一生この先も辛い人生を送るのか?」

「…………」

 何も言えなかった。だって、もうそんな人生送りたくないって思ってるから……。

「どうなんだ?」

「……イヤです。 もうこんな人生……送るなんてイヤです」

 だけどこれが、正直な気持ちだ。もうこんな人生真っ平ごめんだ。借金を抱えて生きていくなんて、もう懲り懲りだ。
 こんなことになるくらいなら、死んだほうがマシだ。

「お前が俺との結婚を受け入れるというのなら、俺は今すぐその借金を返済してやる」

「……どうして」

 どうしてそんなにわたしに、優しくしてくれるの……?どうして?
 
「俺は困っている人を見捨てられない主義なんでね」

「……わたし、もうこんな生活から抜け出したいです」