こうやって二人でご飯が食べれるのも、残りわずか……。
 カウントダウンは、もうすでに始まっている。

「……あの、爽太さん」

「なんだ?」

「……離婚届、本当に出すんですよね?」

 カウントダウンが始まった今、離婚するという選択肢にきっと、変わりはない。
 だからこそ、今という瞬間を大切にしたい。……だけどまた、プロポーズしてくれるというその言葉を信じて、わたしは爽太さんのことを待つ。

「……ああ。そのつもりだ」

 爽太さんは遠慮がちにそう答えた。だけどその表情は、とても悲しそうにも見えた。

「そうですか……。分かりました」

 この離婚は、わたしたちが前に進むための離婚であることに変わりはない。
 そしてそれは、幸せになるための第一歩だと、わたしは信じている。

「……すまない」

 そして爽太さんは、たった一言だけそう答えた。

「いえ……。大丈夫です」

 妊娠しているからこそ、わたしたちは当然家族になるものだと思った。
 けれど本当の家族になるには、まだ時間もかかる。……子供のために頑張るなんて言ったけど、本当は自信なんてない。