そして味見している時、爽太さんが眠そうな顔をしながら寝室から出てきた。

「爽太さん、おはようございます」

「おはよう、紅音。もう体調は大丈夫なのか?」

 とコップを取り出しウォーターサーバーのレバーを押していた爽太さんは、わたしにそう問いかけてきた。

「はい。おかげ様で、もう大丈夫です」

「そうか。なら良かった」
 
 爽太さんは微笑むと、わたしを後ろからギュッと抱きしめていた。

「そ、爽太さん?」

「紅音が元気じゃないと、俺も頑張れないから」

 そう言って爽太さんは、わたしの頬にそっとキスをした。

「……ありがとう、爽太さん」

「俺、顔洗ってくる」

「はい」

 爽太さんが洗面所で顔を洗っている間に、わたしは朝ごはんをテーブルに並べた。

「お箸出そうか?」

「じゃあ、お願いします」

 爽太さんは二人分のお箸を持ってきて、並べてくれた。

「食べようか」

「はい。 では、いただきます」

「いただきます」

 二人で手を合わせ、朝ごはんを食べ始める。

「うん。美味い」

「良かったです」

「それにしても、大変だったな」