8月25日(前編)

「……何、この状況…」

聞こえた水樹くんの声は意外にも冷静だった。

だから逆に不安になる。


わたしは水樹くんを見ることなんてできなかった。

「紗良が誘ってきたから、それに素直に乗っただけだけど?」

「っ!?」

わたしが誘った!?


どうしてそんな嘘を!?

「…へー…」

と言った水樹くんの声は聞いたことがないほど低かった。


「わ、わたし帰りますっ」

やっとの思いでお兄さんを押すと、急いで玄関に向かった。


もう無理だ。

何もかも、もう……


慌ててローファーを履いていると勢いよく腕を掴まれ、そのまま2階に連れて行かれる。