安っぽい質問しかできなくて、そんな自分に憤る。
詮索せずにいるのが正しいのかもしれない。でも、口から出てしまった言葉は取り消すことができないし、他にどうすればいいのかも見当がつかなくて、困ってしまった。
霧島くんはそんな私に嫌な顔一つせず、話してくれた。
サッカー部で、レギュラーになれなかったこと。他の同級生はみんなレギュラー入りしたのに、自分だけあぶれてしまったこと。
彼はいつも笑っていたから、泣くことがあるんだ、と馬鹿みたいなことを思った。しかも、そんな小さい子みたいに力一杯。
霧島くんの泣き顔が、強烈に印象に残った。
「まじで悔しくてさ……自分の実力不足なんだけど、何でだよ、クソって……」
私は部活に入ったことがないし、そんなに夢中になるものを見つけたことがない。いつも、生きるのでいっぱいいっぱいで。
手術が怖い。リハビリは辛い。薬も副作用でしんどい。呼吸さえ、ままならない時があった。何度も死ぬかもしれないと思った。
だから、彼の泣いている理由が、贅沢だなあと思ってしまったのだ。
「大丈夫だよ」
サッカーが上手くないくらい、レギュラーになれなかったくらい、どうってことない。霧島くんは健康で元気なんだから、またチャンスはある。それが違う形だったとしても、きっと。
「生きてれば、大丈夫。何とかなるよ」



