気まずさに顔をしかめた三人衆が、そそくさと踵を返した。
何だ、終わったのか、とでも言うように、周囲の視線が外れていく。

雫も、私も、他のみんなも、しばらくそのまま立ち尽くしていた。

じりじりと、太陽が全てを焼いている。


「アイス、食べよ」


雫の肩に手を掛けた薫が、半ば強引に彼女の背中を押した。
それ以外は、誰も何も言わずに、また砂の上を歩いて海の家に入った。

小さい子の甲高い騒ぎ声も、大人の笑い声も。本来は海に相応しいはずなのに、今だけは、今の私たちにだけは、そぐわない。


「バニラ二つと、チョコ二つ、下さい」


初めてみんなと一緒に帰った日と同じ、ソフトクリーム。あの日と同じ、薫が注文して、バニラ派は雫と近江くんで。
でも違ったのは、食べ終わるまで誰も、一言も話さなかったこと。さくさくとコーンをかじる音が、不格好に空間の主役を務めていた。


「ごめん」


ソフトクリームをすっかり食べ終わってしまい、各々視線をさ迷わせていたところで、雫が切り出す。


「やっぱりちゃんと謝らせれば良かった。ごめん」


どう反応するのが正解か分からずに、沈黙が落ちる。真っ先に首を振ったのは、薫だった。


「雫のせいじゃない。誰のせいでも、ないよ」