静寂が完全に幕を下ろす前に、霧島くんが口を開く。
そうだな、と近江くんの返事は低かった。それで、彼は「でも」と言うのだ。


「さっきみたいに、『松葉』で落ちることもある」


瞬間、みんなの顔が憂いを帯びた気がした。私も、身が引き締まる思いだった。

必ずしも最後まで綺麗に光っていられるわけではない。できうる限り光り切って短命で終わる人生も、細々と長く光り続ける人生も、全部単位は同じ。一度生きると書いて、「一生」だ。

長く保たせようとして傾けても、風が来たら揺れる。落ちる。それは一種、運命とも、偶然ともとれるもので。

でもきっと、私たちは今、精一杯火花を散らして輝いている。それだけはどうしようもない事実だ。


「……そうだね。だから、今を大事にしないとなって思うよ」


酷く優しく、悲しく、穏やかな顔をして、薫が目を伏せる。彼女の手が自身の左胸を押さえた。心音を確かめるように、ゆっくりと瞼を閉じて息を吐いている。

八月八日。今日は、近江くんの、生まれた日だ。