なるほど、それで、と合点がいった。
確かに射手座の絵は、ケンタウロスが弓矢を持った状態で描かれている。
「まあ話は分かったけど……近江はそのケイロン? が苦しみ悶えてるのが好きだったってわけ?」
薫が顔をしかめて遠慮会釈なく問う。
んなわけあるか、と即座に反駁した近江くんは、言いにくそうに続けた。
「結局、不死だなんだって言っても、おめでたいもんじゃないって思ったんだよ。生きてる間は死ぬのが怖くても、死にたいって願わずにいられない時もある」
ケイロンのように苦しみ続けて、やがてそれに我慢ならなくなった時。
私たちに毒矢が刺さったら、私たちは不死ではないから、いずれ息絶えてしまうだろう。それでも視界が暗くなる前に、苦しむと思う。早くこの地獄が終わって欲しいと、死を望むんだろうか。それとも、まだ生きていたいと願うんだろうか。
「……私は、死にたいなんて思わない。生きなきゃいけないもの。生きていたかった人たちの分も」
芯のある声だった。薫の表情はほんの少し強張っていて、だけれどすぐに崩れてしまいそうな脆さもある。泣いてしまいそうだな、と、思った。



