彼女のLINEには今でも誰にも伝えられず、知られず、たったひとつの鍵のかかったiPhoneの中に眠り続けている言葉がある。



『いつだって訴えても、勇気振り絞っても、返ってきた答えは曖昧やったね。ちゃんとする。真剣に考えてる。信じたかったのは上司としての絶対的信頼があなたにはあったから。どれ程誠実で、相手思いな人なのか、知ってたから。でもそうなってはいけない思いと、これから先、この人の隣にずっといたいと思う気持ちが本当に半分こずつあった。ふたつの気持ちに挟まれて、もう自分の気持ちが分からなくって、時間とあなたに委ねた。

でも心の中では相手の家族のこと、まだ小さい子どものことを考えたら、小さい頃のお母さんとお父さんの大事さを身をもって知ってるから、やっぱりあかんって思った。

悲しい気持ちや傷を抱えたまま、大人になってほしくなかった。その気持ちがやっと勝って、今日こそ離れよう。今月こそちゃんと生理がきたら、今度こそもう連絡取らないようにしようって思ってたときやった。

ずっと生理が遅れていて病院に行ったら、妊娠してた。ごめんなさいって伝えたら、電話をかけてくれたね。なんて言われるのか怖くてビクビクしてたら「そうやと思ってたわ」って言ったよね。じゃあなんで、ちゃんと避妊してくれんかったんって泣いた。でも、全部人のせいにして生きてしまっていたわたしの罰だと思う。