どうしてそんなにも残酷な話を自分の子どもにできるの?

わたし、生まれてきたことをずっと悔やんでて、愛されていないと思い続けていたんだよ。

その話はあなたから生まれてきた子どもに話すべき話じゃないよ。
吐き出す人がいなかったから、今のわたしにしたんでしょ。
20歳を超えて成人したから受け止められる精神年齢だと思ったんやね。

わたしじゃない。
わたしにするべきじゃない。

わたしはその言葉が世界で1番、この世で1番、あなたの口から聞きたくなかった言葉やったよ。

生まれてくるべきじゃなかったんやね。
悲しいけど、それだけが分かった日になった。
その日、打ち明けた母は声を震わせながら泣いた。
わたしは涙を流すこともできず、唇を噛みしめながら母親に伝えた。


「ごめんやけど、帰って」


母親に言われなくても、もう決めていた。
その日の夜、わたしの住む一人暮らしのこの家に大矢さんがいた。
大矢さんに「どうしても今日だけは一緒にいたい」とわがままを言って、この日は泊まってもらうことにした。
明日、わたしは覚悟を決めて向かうから。
今日だけはこの人とこの子と一緒にいさせてほしい。
セミダブルのベットの上で寝転がる。
妊娠しているわたしは急激な睡魔に襲われ、眠りにつく。
しかし、深夜1時頃、目が覚める。
信じがたい光景が続く。
「………朝日、やりたい…」
「えっ…。…大さん」
張った胸を掴まれ、大矢さんの下半身が身体に擦り付けられる。
この日、大矢さんはわたしの手で果てた。
わたしは下腹部に万が一、大矢さんの全体重が落ちてこないようにこの子がいるお腹を手で覆いながら終わるのをひたすら待った。
真っ暗の視界の中、微かに動く大矢さんをただ黙って見つめることしかできなかった。
この後に及んで、このひとは自分の快楽だけなんだと痛感する。

終わった彼は満足したかのように隣で眠る。
悲しくなって、泣きながら眠りについた。

ごめんね。
ごめんなさい。