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「はいはーい、もしもし」

『………あ、夏暉(なつき)?』

「うん、(いく)ちゃんどした?なんかあった?」

『うーん、落ち着いて聞いてほしいんやけどさ………後輩からさっき、連絡があって……聞いたんやけど……朝日が……』

大矢 夏暉(おおや なつき)はその名前に動揺した。

心臓が飛び跳ね、同時に締め付けられる。

その名前に嫌な予感がしたが、平常心を装って返事をする。

「…ん?…どしたん、朝日が」

『俺もさっき連絡きて…ちょっと信じれへんねんけど』

数秒の沈黙。

駅のホームにある喫煙所にいた彼の目の前に電車が通り過ぎる。

雑音の中、聞こえた言葉に彼の指先で持たれていた火をつける前の煙草が滑り落ちた。

「…え…」

『朝日…亡くなったって。自殺したんやって』