「ひまり、帰ろうか。」



蓮兄に手を引かれ、病院の廊下をゆっくり歩いた。



時々、私の様子をうかがうように顔を覗き込む蓮兄はいつものように優しい。


それに、やっぱりものすごく格好いい。


病院の中を歩いているだけで、何人もの女性が振り返る。


それが、なんだかくすぐったくて
ちょっと嬉しかった。


自慢のお兄ちゃんの横を並んで歩けることが、今さらだけど誇らしく感じた。



だけど…
これが最後なのかな。

杏奈さんが帰ってきたんだから
もう契約は終了。


蓮兄は私のお兄ちゃんじゃなくなるんだ。