「奏士さんが好きです。こうして助けてくれて嬉しいし、プロポーズまで……。でも今は……」
言い淀んでしまい、私はそのまま黙った。奏士さんが嘆息し、私の頭をぽんぽんとたたく。
「わかった。俺が焦り過ぎたよ。ごめんな。だけど、プロポーズは取り下げない」
どこまでも優しい奏士さんに私はまた涙をこらえる。奏士さんは私の顔を覗き込んだ。触れたい、そんな感情が言葉にしなくても伝わってくる。だけど、私たちはまだ触れ合ってはいけない。
「里花、頼みがあるんだ」
「なんですか?」
「子どもの頃みたいに『そうちゃん』って呼んでくれないか?」
思わぬ申し出に、私はぶわっと赤くなった。そうちゃん、確かに呼んでいたけれど、小学生の頃の話だ。
「そんな……奏士さんは大人の男性で……」
「呼ばれたいんだ。ふたりきりのときだけでいいから。あと、敬語もやめてほしい」
熱心に言われ、私は恥ずかしさと困惑でうつむいた。熱を測るように両頬に手のひらを当てると、びっくりするくらい熱い。気温のせいだけじゃない。
言い淀んでしまい、私はそのまま黙った。奏士さんが嘆息し、私の頭をぽんぽんとたたく。
「わかった。俺が焦り過ぎたよ。ごめんな。だけど、プロポーズは取り下げない」
どこまでも優しい奏士さんに私はまた涙をこらえる。奏士さんは私の顔を覗き込んだ。触れたい、そんな感情が言葉にしなくても伝わってくる。だけど、私たちはまだ触れ合ってはいけない。
「里花、頼みがあるんだ」
「なんですか?」
「子どもの頃みたいに『そうちゃん』って呼んでくれないか?」
思わぬ申し出に、私はぶわっと赤くなった。そうちゃん、確かに呼んでいたけれど、小学生の頃の話だ。
「そんな……奏士さんは大人の男性で……」
「呼ばれたいんだ。ふたりきりのときだけでいいから。あと、敬語もやめてほしい」
熱心に言われ、私は恥ずかしさと困惑でうつむいた。熱を測るように両頬に手のひらを当てると、びっくりするくらい熱い。気温のせいだけじゃない。



