「どんな努力をしたらいいのでしょう? お義母様、具体的にお教えいただけますか?」

努力とはなんだろう。家に帰らない夫のためにする努力とは? あからさまに私に嫌悪を見せる夫を追い回し、身体をつかって取り入れというのだろうか。
私の怒りも感じているようで、義父がため息をついた。

「里花さん、うちとしては宮成家と関係を壊したくないんだ。離婚などと短慮なことは言わず、もう少し京太に歩み寄ってくれることはできないか? きみに強く出られて、あの子も気遅れしてしまうから外の気安い女に走るんだよ」

義父の言葉はなだめているようでまったく違う。まるで私が高慢で京太を見下しているから悪いと言いたげだ。京太の浮気の原因が私にあると聞こえる。

「私は京太さんに対し、おっしゃるような態度はとっていません」
「どうかしら。おとなしそうに見えて、上流階級のお嬢様は鼻っ柱が強いものね」

義母は私の先ほどの反撃が面白くないらしく、突っかかってくる。

「まあ、私たちからも京太に少し話すとするから、里花さんはご実家に頼らず京太を頼ってやってくれ」

義父は最後まで眉間のしわをとらずに厳しい態度だった。

帰路、考える。
やはり義両親は私と京太の離婚を許さないだろう。むしろ、早く後継者を作れとこれからもプレッシャーをかけてくるに違いない。