奏士さんが私を抱き締め返し、ふうと深く息をついた。

「ありがとう、里花。すごく嬉しいよ」
「ハネムーンベイビーになるかしら。この旅行中にできたら」

奏士さんがいきなり私を横抱きに抱き上げた。小柄な私は軽々とベッドルームへ運ばれてしまう。目元を色っぽく染めて微笑んだ奏士さんが、低くささやいた。

「今夜できるかもしれないよ」
「気が早いなぁ」

あとは夢中で唇を重ね、私たちは夜に沈んでいった。


翌早朝、眠たい目を擦り、私たちはスーツケースを押して出発した。
手を繋いで、ふたりの新しい時間のために。