ブラウスとスカートを身に着け、今は何時だろうと時計を探す。朝この部屋にきて、抱き合ってそのまま眠ってしまったのだ。遮光カーテンの部屋は時間の感覚が狂うし、時計がどこにあるのかも見つけられなかった。

寝室を出るとすぐにリビングだ。広々としたリビングには傾いたオレンジ色の日差し。もう夕暮れなのだ。壁の時計は十六時を指していた。

「シャワー借りたいな」

暖房の入っていない部屋は少し寒く、汗をかいた肌が冷える。でも、断りもなく使うのは……。

「里花」

ためらっていたら背後から呼ばれた。振り向くと、けだるげにドアにもたれた奏士さんがいる。上半身は裸で、下はスーツのスラックス姿だ。

「奏士さん、寝ていてください。長時間のフライトで疲れているでしょう」
「フライトより里花に夢中になり過ぎたことで疲れてるかな。身体、痛くないか?」
「大丈夫」

本当はあちこち違和感があるけれど、何時間も運動をし続けた状態と考えれば普通のことだろう。お互いに夢中になってしまったのだから。

「シャワーを借りたくて」
「ああ、俺も一緒に入ろうかな」
「え!」

驚いて真っ赤になってしまう私に、奏士さんがにっと意地悪に笑う。

「冗談。恥ずかしがる里花の顔が見たかった。シャワーも風呂も、そのうち一緒に入ってもらうけど、今日のところはひとりでゆっくり浸かるといいよ」

ああ、ドキドキした。そういう仲になったとはいえ、いきなり一緒にシャワーを浴びたりするのは心臓が持たない。