捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで

「やっと触れられる」

顔を見たくて顎を持ち上げると情熱的なキスが落ちてきた。

「ん、んっ」

唇を割り開き舌が入ってくる。慣れない深いキスに、息が苦しくてうめく。くぐもった声は煽ってしまうようで、奏士さんが私の腰をきつく抱き締めた。

「くる、し、そうしさん」
「ごめん、里花。余裕がない」

ネクタイを緩め、自身のジャケットを脱ぎすてる奏士さんは、本当に苦しげな表情をしている。それが苦痛ではなく、興奮なのは経験のない私でもわかる。観覧車でしたキスの危うい空気が今この場にある。
コートを脱がされ、首筋に顔を埋められた。耳たぶの下に押当てられた唇がちゅ、ちゅとリップ音をたて、鎖骨まで降りてくる。リボンタイのついたブラウスは襟を緩められ、おそらく下着も胸元も見えてしまっているだろう。
火照る頬で彼を見つめると、屈み込むようにして私を味わっていた奏士さんと目が合った。

「ほしい、里花」
「奏士さん……あの……私、初めてで……」
「知ってる。里花の初めても、これから先も、すべて俺がもらいたい」

甘い嘆願に全身が熱くなった。恥ずかしい。だけど、どうしようもなく嬉しい。
言葉にできないでいると、熱い手のひらが私の頬を包んだ。思わずびくんと震えた。期待してしまっているのは、きっと表情からも仕草からも伝わっているだろう。