「恋人になってくれ、里花」
「はい。奏士さんの恋人になります」
彼が髪を撫でる。頬に大きな手のひらが押し当てられる。その手に私も手を重ね、彼を見つめた。微笑んで目を細めると、新たな雫が頬をつたった。
人の少ない時間帯でも、抱き合う恋人同士の姿はきっと目立ったと思う。恥ずかしいから早くここを立ち去ろうと思うけれど、奏士さんはなかなか私を離してくれなかった。
飛行機をキャンセルし、夜が明けたばかりのロータリーへ出る。手を繋いでタクシーに乗った。
「今日は休み扱いにしてるんだ」
最初から私に会いにきてくれるつもりだったのだ。
「一緒にすごしてくれるか」
「はい」
タクシーの中では私も彼もほとんど喋らず、ただ互いの手をぎゅっと握っていた。
やがてオフィスにほど近いマンションに到着する。初めて入った奏士さんの部屋は、沙織さんと功輔さんの住むマンションとは目と鼻の先。ひとり暮らしには広すぎるリビングからは、高層階ということもあって、周囲のビルが見渡せる。夜は夜景が綺麗だろう。
「里花」
奏士さんが私を呼ぶ。振り向く前に抱き寄せられた。もう誰憚ることもなく、私も無我夢中で腕を回していた。
「はい。奏士さんの恋人になります」
彼が髪を撫でる。頬に大きな手のひらが押し当てられる。その手に私も手を重ね、彼を見つめた。微笑んで目を細めると、新たな雫が頬をつたった。
人の少ない時間帯でも、抱き合う恋人同士の姿はきっと目立ったと思う。恥ずかしいから早くここを立ち去ろうと思うけれど、奏士さんはなかなか私を離してくれなかった。
飛行機をキャンセルし、夜が明けたばかりのロータリーへ出る。手を繋いでタクシーに乗った。
「今日は休み扱いにしてるんだ」
最初から私に会いにきてくれるつもりだったのだ。
「一緒にすごしてくれるか」
「はい」
タクシーの中では私も彼もほとんど喋らず、ただ互いの手をぎゅっと握っていた。
やがてオフィスにほど近いマンションに到着する。初めて入った奏士さんの部屋は、沙織さんと功輔さんの住むマンションとは目と鼻の先。ひとり暮らしには広すぎるリビングからは、高層階ということもあって、周囲のビルが見渡せる。夜は夜景が綺麗だろう。
「里花」
奏士さんが私を呼ぶ。振り向く前に抱き寄せられた。もう誰憚ることもなく、私も無我夢中で腕を回していた。



