捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで

取り出したのは便箋と写真。写真を見て、思わず「わぁ」と声をあげてしまった。瞬間、心がほぐれた。
写真には産まれたばかりの赤ちゃんが映っていた。二枚目には京太と摩耶さんと赤ちゃんが三人で映っている。

「産まれたんだ……」

私は写真をベッドに置き、便箋を開いた。京太の自筆の手紙だった。


『里花へ

ご無沙汰しています。元気にしていますか。
俺は今、富山にいます。摩耶と結婚し、彼女の実家で働いています。
子どもが産まれました。男の子です。
どのツラを下げてと思うかもしれないけれど、どうしても里花に報告をしておきたくて手紙を書きました。

里花、改めて、結婚生活では悲しい想いをさせて申し訳なかった。
知っての通り、里花を妻にしたのは両親の意向でした。俺は、他に何人も遊び相手がいて結婚なんかしたくなかった。というより、子どもの頃から両親の言いなりになって生きている生活が嫌だった。
里花にも言われたね。俺は両親の元から離れる勇気がなくて、両親の脛をかじりながら人生を操られる方を選んでしまった。