すん、と鼻が向けられる。 「甘い匂いする」 そう言われて、自分の肩口を嗅いで見るけれど、さっきの居酒屋の匂いと雅宗から移った煙草の匂いしかしない。 「いっつもこの匂いしてる」 「香水とかしてないし……柔軟剤?」 「この匂いすると、腹減ってたのが急に治まったりすんだよね」 「……なんで?」 「分かんないけど。そういう意味で、小梅ちゃんといるとなんか満足感があるってゆーか、腹の底が落ち着くってゆーか」 じゃあ今、落ち着いてほしい。 雅宗は続きを考えているらしく、私の寝転がる床を見ている。