俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


…眠り続けているおじさんに聞こえているわけではないのだけども。



「親父、来たよー」



中に入って、ベッドに向かって普通に声掛けをしたなずなは、リュックを傍の椅子に置いて、まず何やらベッドの周辺を確認しているようだ。

「…あ、ヒゲソリ充電されてる。乱ママ来てったの?…ちょっと。ここにエロ本置いてあんだけど。また木嶋?居眠りこいてる親父がエロ本なんて読めるわけないだろ。あいつ…」

一方的に話しかけて、独り言のようなカタチとなっているが、それもそのはず。

返答が…返ってくるわけないのだ。

周辺に置いてある医療機器の音だけが響いていた。



ベッドの中にいる音宮のおじさんは、可愛い娘の声掛けにも、何一つ反応することなく、すやすやと眠っている。



「……そうだ。親父、今日は伶士を連れてきた。ね?」

「あ、う、うん」



名前を呼ばれて「おじさん…」と呟きながら、横たわるその傍に寄る。

眠り続けるおじさん。痩せこけてはいるが、顔が本当に安らかだ。気持ち良く寝ているみたい。

ホント、こっちの事情も知らないで。