いや、確かに忙しいのは知ってるけど。
嫁に行き遅れるジンクス信じてる?……あほか!
だが、そこで俺の登場らしい。
「で、橘くんにお願いっていうのは……彼氏の橘くんからも、なずぽよにショーモデル引き受けてくれるよう説得してほしいのよー!」
「え?俺が…」
「なずぽよの友達にも手を回して説得してもらってるんだけどね、イマイチ手応えなくてね…」
だから、俺にも手を回してきたのか。
なんという周到な…。
「私、どうっしても諦められなくて!ショーを成功させたいのはもちろんなんだけど、後夜祭に私が志望している服飾系の大学の関係者が見に来るの。私の推薦入学がかかってると言っても過言じゃなくてね?全力で行きたいの!何としても、なずぽよにこのドレスを着て出てもらいたい。……橘くん、お願い!なずぽよにショーに出てくれるよう説得して?お願い!」
ものすごい迫力で、頭を下げられる。
さすが芸術家志望。自分の拘りは曲げられないのだろう。
……と、いうわけで。
「わかりました。話はしてみます」と、一応了承はして、話しは終了となった。



