しかし、次に続く言葉で、その警戒は解くこととなり一転、それはぜひ話を聞かなければと思った。
『…なずぽよに関するご相談みたいなんだけどねぇ?』
……なずなに関するご相談?
「橘くん、こっちこっち!」
「は、はい」
その五島さんが手招きして案内してくれたところは、同じフロア内にある家庭科室。
家政サークルの活動拠点といったところだ。
入り口のドアを開けた五島さんの後ろに続いて、中にお邪魔する。
家庭科室の中は、昼休みにも関わらず女子生徒の姿がちらほらある。
いや、昼休みだから?お弁当食べていたり、雑誌やスケッチブックを広げて談笑というか話し合いをしていたり。家政サークル所属の女子なんだろうか。
「部員いてちょっと騒がしくてごめんね?学校祭近いからさ?」
そう言って、五島さんは空いている椅子を勧めてくれる。
頭を下げて角の席に座ると、五島さんは斜め向かいに腰掛けた。
俺たちの姿を見かけた女子生徒が「部長、どうぞ!」とスケッチブックを持ってやってくる。
「ありがとう」と受け取って開くそのスケッチブックからは、本格的なデザイン画がチラリと見えた。



